TS90はトレール車で2stオイルは分離給油です。
2stオイルを持ち歩かなくても良いので、街乗りで使うには便利で良いのですが、モトクロスでの使用となると少し問題があります。
分離給油のオイルポンプは、アクセル開度とエンジン回転速度によりオイルの吐出量を決定しています。
例えば、アクセル全開で斜面を登った後に、今度はアクセル全閉でエンジン回転は高いまま下る。
即ち、ポンプからのオイル吐出量が少ないのにエンジンは高回転
これでは心配でハゲるかもしれません。
ハゲたくないので、TS90も混合仕様にします。
これがオイルポンプ
ヤマハと給油方法が少し違い、スズキCCISは、吸気側の給油の他にクランク左ベアリング側からコンロッド大端ベアリングへの給油も行っています。
わざわざクランクへ直接給油しているのも意味があるのでしょう(耐摩耗性とか)
それに、クランクベアリングから大端ベアリングへ給油をする構造上、ベアリング周辺に色々部品がついてしまうので、単純にオイルポンプを撤去して混合仕様とするだけでは、どうも不具合がありそう。
吸気からのオイルがベアリングに到達し難そうな感じがします。
ということで、クランク潤滑用にオイルポンプは残しつつ、インレットのみ混合仕様にします。
で、オイルポンプを分解点検していきますが、、、
下側のカバーを外すとデロデロコテコテの元オイルとサビらしきものが出てきて、肝心の中身は固着してびくともしない。。
プレスを使ってなんとか抜きました。
見た目はキレイなのに、プランジャがやたら渋くて元に嵌りもしません。
もしかしたらポンプボディが歪んでいるのかも。
ボディをホーニングしてクリアランスを調整する手もありそうですが、ポンプとしての気密性等
を考えるとリスキー。
さて、どうしたものかと考えてたところ、同じSUZUKIの90cc2stオイルポンプを見つけました。
実用車のK90のポンプ(左)です。
同じミクニ製のポンプで取付け形状も同じ。
でしたが、中身が違いました。
K90のはサブプランジャが付いてます。
このK90のオイルポンプはTS90よりも高年式のものなので、こちらの方が効率がよいのでしょうか。
カム形状も同じようにみえるし、ウォームギヤの歯数も同じ。
コントロールカムの形状は少し違って、TS90の方が複雑なカム形状。
うーーん、、結局のところ、これが使えるのかどうか見た目だけでは判断し難いので、
旋盤で駆動できるよう治具を作って、吐出量を実測してみることに。
これは、TS90オイルポンプのコントロールカム開度と吐出量の関係を示すグラフ。
これによると、ベアリングサイドのみの吐出量は、0.11~0.17cc/10min @2000min-1
さすがに0.11~0.17ccを測るのは難しいので、10倍の100min回して10倍量を計量することにします。
めっちゃジミーーーーーに滴下してますね。
測定結果は、コントロールカム開度、インレット側開閉に関わらず、0.5cc/10min@2000min-1
資料よりも3~5倍近くも吐出していることになりました。
K90が実用車用であることから、吐出量を多く設定しているのかもしれません。
また、吐出した重量(g)から体積(cc)換算しているため、測定誤差が大きいということもあります。
(なんせ使った秤が最小単位:1gのキッチン用秤だったし)
しかしながら、このK90のポンプは漏れもなく、しっかり吐出し出来るポンプであることは判明しましたので、エンジンに搭載しました。
もちろん、インレット側の出口は埋め栓して。
さて、動画を観てくれました賢明な読者の方はもうお気づきでしょうが、オイルポンプ、オイルラインを分解した際は、しっかりオイルラインのエア抜きをしましょう。
あのジミーーな吐出量です。
空っぽのオイルラインを通り抜けて、インレット側やベアリング側にオイルが出てくるのは、エンジンを始動してから、しばらく経った後のこと。
いきなりエンジンをかけると、、、無潤滑でエンジンを回すことになります。
怖いですねぇぇ。恐ろしいですねぇぇぇ。
エア抜きが終わるまでは、分離給油といえども、混合で回すようにしましょう。
では、サヨナラサヨナラ
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