2022年8月13日土曜日

ヤマハDT1Fの点検と12VCDI点火化 その3 クラッチ周りの確認

腰上の点検までしたDT1F
現状をお伝えしたところ、しっかりと診て欲しいとのことでしたので、
エンジンを下していきます。

ドライブスプロケットナットにタガネで叩いて緩めて締めた痕あり。

まぁ野蛮だわ。いやん。


オイルドレンボルトにシールテープ巻くの趣味な人いるよね。
しかもドレンボルトにオイル排出の穴を追加してる。
オイル抜くのにボルト抜き取るのメンドクサかった?
でも、もし中折れしたらメンドクサいよね。


車体からエンジンを下しました。


クラッチカバーを開けますと、最近組まれた感じのキレイなクラッチが見えてきました。


クランクシール(R)はヤマハ純正ですね。



シールを外してリップを押してみます。

ゴムなので柔らかいはずですが、それは昔の話。
今やけっこうな力を入れて押しても全く変形しない。
まるで老害全開頑固クソジジイみたいです。

崇拝する高田純次先生が仰っていました。
歳をとってやっちゃいけないことは、「説教」と「昔話」と「自慢話」


老害頑固オイルシールにやられちゃってるプライマリードライブギヤ

摩耗しちゃうとオイルシール摺動部と一体型になってるので、まるっと全交換になります。
もちろん、メーカー廃番ね。


クラッチもばらしていきましょう。


クラッチプレート
錆が出ているので、研磨修正か新品交換


フリクションプレート
摩耗量は少ないですが、一部欠損しているのもあるので新品交換にしましょう。


段付き処理されてからそんなに走ってない感じ。


クラッチセンターのメタル
ここが摩耗すると、クラッチAssyが傾くのでエンジン右側からカラカラ音が出てきます。

対策しようにも、メタルの部品設定がないので単品交換は不可。
サイズが微妙で汎用品が使えないのがツライ。


その軸にあたるカラー
ここも大概、段付き摩耗してます。
幸い、いまのところNOSで入手できるので交換できます。

比較的、部品が入手しやすいDT1系ですが、ないものはない。
今後NOSも減る一方だから、なんとかしないとなとは思ってます。

あ、思ってるだけ。(テキトー)

2022年8月11日木曜日

ヤマハDT1Fの点検と12VCDI点火化 その2 クランクシールと腰上の確認

 
漏れてたオイルシールを取り外して、クランク軸の状態確認をします。


おー!
オイルシールが入る部分を1段削り落として、圧入時の傷付き防止対策をしてるのか!


と一瞬思いましたが、実はキッチリ段付き摩耗しているだけでした。

このように爪が引っかかるくらいに摩耗してしまうと、新しいオイルシールに交換してもすぐに漏れだします。


で、クランクベアリングですが、まだキレイですね。
最近交換された感じですが、そのベアリングが

『6306』

いわゆる普通スキマです。

クランクベアリングは内外輪とも圧入なので、C3以上のスキマが必要です。

外側からケースに締め付けられ、内側からクランク軸で広げられて、板挟みとなったベアリングタマタマさんは、狭くなったスキマの中でしか動けなくなり、早々に疲労していきます。
まるでブラックな会社の中間管理職のように。。。


反対側に移りまして、オイルポンプ


まぁ、いつものように漏れてます。
ガスケットも古いタイプなので分解整備します。


シリンダーを外してピストンの確認を。



吸排気方向ともに致命的な損傷はなし。よかった。。
ピストンリードバルブ仕様となったDT1Fのピストン、リングは入手困難になってきました。
先代のDT1よりかなり困難です。
あってもすんごい高価ですので、大事に使ってください。


小端ベアリング、ピンはそこそこお疲れの様子。
ここらはヤマハからまだ入手できるので、新品に交換しましょう。


クランクの様子も確認します。


大端サイドベアリングが摩耗限界を超えています。
小端の振れは摩耗限界値の一歩手前。
前出のクランク軸摩耗と併せて、リセットするかオーナー様とはゴソウダン。


シリンダーの様子


クロスハッチは消失、一部サビがでてます。


各部測定したところ、
シリンダーの偏摩耗は問題なし。
ピストンクリアランスは、摩耗限界値付近。
リングの摩耗は続投可能な範囲。

さっきも言いましたが、DT1Fのピストン、リングは入手困難なのでー

シリンダーを最小量でホーニングして、もう少しがんばってもらうことにしましょう。

2022年8月7日日曜日

DT1Fの点検と12VCDI点火化 その1


この車両は外装をDT1に変更されたDT1ルックのDT1Fです。
各所メッキされたりと結構な手間と費用がかかっていますね。

そんな車両を入手した現オーナー様から、各点検と12VCDI点火化のご依頼です。


おや!


懐かしいモノが付いてますね。
EASY-CLUTCH


てこの原理を使ってクラッチレバー荷重を軽減するアイテムです。
で、付いてる割りにクラッチは激重!


もしやクラッチレリーズのウォームギヤが割れているのか?
外して確認していきます。


・・・、汚。。


汚れたグリスを洗い流したら、綺麗なウォームギヤが現れました。
ということで、こいつは白でした。

ここは定期的に分解清掃をオススメします。
汚れたグリスが硬くなり、作動が重くなることがあります。


次は横に移動して、ジェネレーターカバーを開けて・・・


はい、ゲロってます。
クランクシール抜け確定です。


国内某メーカーの汎用オイルシール
ちょくちょく見かけますが、、
国産なのに大陸リプロより良いイメージがないこのシール。

まあ、使い方が違うんだと思います。
安くてすぐに手に入るのはイイんですけどね。

つづくー