2021年1月17日日曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その10で完成!

車体整備も終わり、アイドリングでの慣らしも完了したDT1F
いよいよ慣らしを兼ねた実走テストを始めます。

が、


キャブのここ。
アイドルアジャスターの動きが気に入らない。


正確に言うと、このスプリングが気に入らない。
アジャスターを回す際にスプリングの端がキャブ本体に食い込むんです。


このスプリング(右)はキャブOHキットに入っていたものだと思うんですが、端面処理されいません。
純正キャブについていたスプリング(左)はちゃんと端面処理されていますね。
純正中古品に入替えておきました。
これで食い込まず気持ちよく回せます。


さて、試走してきました。
問題だったギヤ抜けはもちろん再発なし。
シフトフィーリングもバッチリです。

ただ、、

スロットル開け始め1/8~1/4での回転が引っかかるような症状があります。
やや燃調が濃い感じです。

スロージェット、ニードルの番手を落としてもほとんど症状変わらず。
確かに少しは薄くなることはなりますが、番手を下げたほどの変化が感じられません。

内部部品はほぼ新品に入れ替わっていましたので、ジェット類が摩耗、劣化しているとは考え難いです。
キャブ本体のどこからかガソリンが漏れ出て、燃調が濃くなっているようです。

キャブレター丸ごと新品に入れ替えられれば最良ですが、そうもいかないので、


カッタウェイをDT1F標準の#1.5(左)から#2.5(右)にしてみます。


カッタウェイの番手の違いは、切り欠き深さの違いです。
ジェット類の番手と異なり、数字が大きくなるほど燃調は薄くなります。

あまりカッタウェイの番手を変えることはないんですが、今回はこれでビンゴでした!



その後、試走を繰り返し、
というか、
気持ち良かったので乗っちゃった♪
で、
目標以上の試乗をしてしまいました。

これにて完成です。
大変お待たせ致しました。
ご依頼頂きありがとうございました!

いやー陸送会社に引き渡すのですが、、
名残惜しい!
手元に置いておきたかった笑

2021年1月12日火曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その9

DT1Fも完成まであともう少し!


ギヤオイルには、A.S.HのPSE GEAR 70W-90 を使います。

定価:¥3,487(税込)と少しお値段はしますが、お値段以上の性能です。
シフトフィーリングが格段に向上します。

他の車両ですが、以前、いくら調整を繰り返しても微妙だったシフトフィーリングがウソのように改善し、ニュートラルも楽に入るようになりました。

2ストのギヤオイルなんて安い純正でいいやん!って思っている方!
自分もそうでしたが笑

一度、このオイルを使ってみて下さい!!

シフトを踏んだ瞬間に安物オイルとの違いが判るはずです。

もちろん潤滑保護性能も素晴らしいので、部品供給の心配な旧車にうってつけのオイルです。

ほんと、オススメ!


車体の整備、リフレッシュもご依頼がありましたので進めていきましょう。


フェンダーのグロメット
朽ちて千切れる寸前です。


これらもヤマハ純正で交換します。


ん~気持ちいい♪


これはリアテールライトのソケット裏。
配線がカチカチでアースの取付けも微妙でしたので、


新しく配線し直しました。


ケーブルチューブも新しくして


同様にウインカーもキレイに引き直しておきました。


これはリアハブダンパー


グリスが切れて摩耗しています。
赤茶色のはサビているのではなく、微小振動して摩耗した証拠です。
グリスアップしておきました。



前後ブレーキも分解、洗浄してグリスアップです。


今回、オーナー様のご依頼で、メーターもオーバーホールしています。
(当店ではメーター修理はできないので、外注です)
内部機能部品の修理はもちろん、文字盤のレストアやカスタムも可能です。


各部増し締めもして、慣らしを兼ねてしばらく走り込みます。
遠方からのご依頼ですので、なるべく納車前に膿みだししておきたいですからね!

2021年1月11日月曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その8

クラッチ周りも終わり、腰下はほぼ終了してますので、一気に完成までいきましょう!

2ストの命、オイルポンプ

このポンプは以前に私がOHしていますので、グリスアップとリークチェックだけしておきます。

漏れもなく、チェックバルブからの漏れもOK

大事なので何度も書きますが、オイルポンプは定期的な整備が必要です。

アイドリング時でのオイル吐出量を決める最小ストローク値の確認、

スロットル全開でのストローク量、

プーリーがスムーズに動くか、

ポンプ本体、オイルラインからの漏れはないか

定期的にカバーを開けて確認することが重要です。



カチカチに硬化したオイルラインが通るグロメットは

リプロ品に交換します。

 純正部品番号:363-13174-00

2,600円/1ヶ(税抜き)です。

もちろんオイルラインも新品で。

やっぱりゴム部品がきちんとしていると気持ちいいです。

写真が前後してましたが、ピストンはヤマハ純正の0.25オーバーサイズで。

ピストン、リング、ピンピストンもWPC+ハイパーモリショットを施工して組みこんでいます。


キャブレターも分解、確認、


超音波洗浄してリフレッシュ


DT1Fからはピストンリードバルブなので、リードバルブもばらして洗浄します。
この車両はBOYESEN(ボイセン)のリードバルブに変わっていました。

ノーマルのリードバルブが1枚のプレート状になっているのに対して、ボイセンパワーリードは硬度の異なる2種類のバルブで構成。
その為従来では混合気の流速が遅く、バルブの開度が不十分になりがちな低速域でも、よりしなやかなセカンダリーポートがすばやく反応し、十分な開度が得られ、より適切な混合気がシリンダー内に充填され、アクセル開度に応じた鋭いレスポンスを生み出す。

らしいです(コピペしちゃった)


エアクリーナエレメントも交換しましょう。
DT1Fはまだメーカーから純正品が出るんです。
素晴らしい♪


あとはヘッドを載せて、電装を戻せば修理は完成です。

おっと!
ジェネレーターが12VCDIキットが入ってますね!!

以前に入替えさせて頂きました♪

一度使うともうノーマルに戻れなくなる悪魔の部品です。

ご検討されている方、くれぐれもご注意ください。
楽しい楽しいポイント調整やコンデンサーパンクが味わえなくなります。





2021年1月4日月曜日

年始早々ですが・・・

 

ただいま頂いたオーダーがいっぱいおっぱい・・いや、オッパイなら・・

いやいや、とにかく消化しきれておりません。

大変申し訳ございませんが、

新規のオーダーはしばらくストップさせてください。


ご相談は随時受け付けております。

Line、メール、お問合せフォームにて

お気軽にお問合せください。

では、宜しくお願い致します。


オイルポンプOHくらいなら合間にできるかな~(遠い目)

2021年1月3日日曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その7

クラッチ本体は前回できましたので、今回は

クラッチを作動させるクラッチレリーズを整備していきましょう。


70年代前半のヤマハ トレール車は、このらせんネジのスクリュータイプが多いです。




クラッチワイヤーでレリーズ(21)を引っ張ると、回転して直角方向に動き、プッシュロッド(20)を介しプレートプレッシャー(9)を押し込むことでクラッチを切る構造です。

クラッチを切るには結構な荷重かかりますが、DT1系はネジ部分が樹脂で出来ています。

この車両はとても状態が良いですが、結構な割合でこの樹脂部分が割れています。
やけにクラッチが重いぞってのは、割れている可能性が大ですね。

このレリーズもなかなか入手し辛い部品の一つです。
極まれにNOSやリプロ品が出てくることがありますが、それはもう高額で、、、
かなり酔っ払わないとポチっとできません。


とにかく定期的に分解して、ちゃんと手入れして使いましょう。
このレリーズは水がかかる部分にあるので、ウォータープルーフタイプのグリスを詰め込んでおきます。

そして、もう一つの部品、


ロッド プッシュ2 (9)
レリーズの動きをプレートプレッシャーに伝える棒です。



軸端が凹状に摩耗しています。
この状態だとクラッチレバーの遊びが多くなります。
そうなると、アジャスターで調整しきれず、レリーズの位置が悪くなり、クラッチが重くなったりします。


今回は溶接肉盛りで面を整えておきました。

そして、このロッドは、


このようにドライブスプロケットの前側にあります。
そのため、泥や水、ゴミが直接ロッドを攻撃し、ロッドやオイルシールを痛めてオイル漏れしてきます。

オイルシールはリプロに交換することで対応できますが、
ロッドは・・・(以下同文)


ロッドがダメで漏れてるよ。。
って方は焦らず、ロッドをゆっくり引き抜いてみてください。


ロッドの反対側(エンジンの奥に入っている側)が摩耗していなければラッキーです。

綺麗に掃除して、くるりと回してそっと戻しましょう。
オイルシールを交換していれば、当面は漏れてこないはずです。

両方ダメでしたっていう残念な方は、

Line か Gmail、お問合せフォームでご連絡ください。

当店で、たまーーーーーーーに在庫してます。

たまにね。




2021年1月2日土曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その6

みなさま、おはようこんにちはこんばんは。

今日はクラッチを組んでいきましょう。


クラッチハウジング
ここに3個ありますが、表側からだと同じに見えますが、


裏返すと、手前の2つはスプリングに色がついてます。
部品番号はどれも同じですが、年式によって少し仕様が違うのです。


色付きスプリングの方が高年式だったはずですが、へたっている確率が高いような気がします。
このNG品はスプリングがへたりきっていて、運転中にカラカラと音が出ていました。



スプリングが遊んでいると、こんな音がします。
特にアイドリングでわかりやすく、クランクケースカバーに手を当てて音が変わる場合は、へたっている可能性が大です。

それならスプリングを交換してしまえば・・・
と言いたいところですが、クラッチバスケットは非分解式でスプリング交換はできません。
こうなってしまうと、バスケット丸ごとの交換になります。

そして音がでる原因がもう一つありまして、
バスケットのセンターにあるメタルブッシュの摩耗です。


ディンプルがあるタイプと


プレーンなタイプ。

どちらかというと、このプレーンの方が年式のわりに摩耗している傾向にあります。

やっぱりスプリング同様、ブッシュも単品設定はなく。。。
しかもこのブッシュ、サイズが規格外で汎用品も使えず。。。

ほんと悩ましい限りです。

悩み過ぎてハゲそうです。
(その割には未だボーボーですが)



ブッシュの相方であるカラーを中古品からサイズ選定して、すこしでも無駄なガタが減らせるように組むしかありません。
今のところは。


クラッチプレートは再利用します。


ボスクラッチと接する部分のエッジが立っているので


ちょっとでも気持ちよく切れるように、ヤスリを当てておきました。


フリクションプレートは新品に交換です。


こちらも同様にヤスリで面取りしておきました。


コンプレッションスプリングはへたりがあり、すべて自然長が規定値外でした。


コンプレッションスプリングも新品に交換して、クラッチ組込みは完了です。