2021年8月31日火曜日

DT1の低速ってこんなんだったかな? ’69DT1Bの整備 その2

低速の出力がイマイチのDT1B

原因調査と同時進行でオイル漏れ修理も行います。

まずは2ストの命、オイルポンプのオーバーホールをしていきます。

ポンプを外すためにホース類を取り外しますが・・・

あらま、チェックボールを押さえるスプリングが入っていません。

そして、チェックボールもはいってない。

前にバラしたときに入れ忘れたのか。。

これでは、ポンプから流れ出たオイルがクランク室に溜まってしまいます。

ポンプ後部、強制給油のダイヤルを留めている割ピンが純正とは違う形状で新しい。

おそらく、この裏のオイルシールを交換したのでしょう。

尻栓も割ピンのところまで抜き出て来てます。

オイル漏れの原因にもなりますし、

ポンプ圧が抜けてしまうので、給油不良になる可能性もあります。

あ、チェックボールが入ってないのは、この為か??



分解しました。
ガスケットの様子から、近年に分解された形跡はありません。


ディストリビューターの摩耗は問題なし。
綺麗な方です。


プランジャーの摩耗も問題ないですが、


プーリーを留める割ピンを差し込み過ぎた際につく痕がありました。


この割ピン、挿入するときは注意が必要です。
ちょっとでも刺し過ぎると、割ピンがプランジャーを突いてロックしてしまいます。


各部確認と補修後、超音波洗浄機でキレイきれいします。


組み上げ後、治具を使って吐出量とリークチェックを行います。

このままポンプはしばらく放置プレーして、


腰上の確認をしてきましょう。


1st 0.25オーバーサイズピストンでした。
シリンダーの状態を診ましょう。







クロスハッチは消失し、ポート周辺の摩耗、シリンダー下部のスカッフ痕など、結構使い込んだ感じのシリンダーです。


シリンダーを観察していると、排気ポートの形状が気になりました。
紙にポート形状を写して、ポート高さや形状を確認してみましょう。


右がこの車両の排気ポート
左がスタンダードの排気ポート
です。

排気ポートの幅は同じでしたが、ポート高さが4ミリ上げられていました。

ポート高さを上げると、早期に掃気(ププっ)するので、エンジン特性的には高回転タイプになります。

低速の出力不足ぎみなのは、どうやらここら辺りが怪しいようです。

恐らく、前オーナーが出力アップを狙って削ったんだと思いますが、ただポート高さだけ変えても、そんなに走るようになりません。

低速トルクが薄くなったり、実圧縮比が落ちるのでパンチが無くなったりします。

ポート高さに見合った燃焼室のヘッドや、チャンバーを組み合わせてこそ、効果が出てきます。

このあたりの調整はなかなか難しいですが、ちょっとの変更で豹変する2ストの面白いところでもあります。

さて、

スタンダードに戻すか

このシリンダーを前提に周りを調整するか

オーナー様と相談することにしましょう。

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