2017年2月28日火曜日

HT90 エンジンオーバーホール Φ50というヤツ

やばいやばいもう2月が終わっちゃう。
ブログも放置ぎみなのに毎日けっこうな訪問者数でみなさまごめんなさい。


HT90のつづきです。

腰上を分解していきます。
ピストンの刻印は『967』でスタンダードサイズでした。


これは外したヘッド。

おやおや、プラグのネジ部が燃焼室に飛び出してますね。
ロングタイプのプラグがついてました。


 正しくはこちら。
間違ったサイズのプラグを入れてると、ピストンと衝突したり異常燃焼の原因となるので注意しましょう。


シリンダーを外して摺動部の確認。


吸気、排気ポート上部にスカッフ痕あり。
クロスハッチは消失していないので、そんなに摩耗していない様子。



ピストンも大きなダメージなし。
まずは一安心。

HT90のΦ50ピストンは、現状、オーバーサイズピストンは入手できません。

70年代のヤマハトレール、モトクロッサーの部品は、海外輸出も多く人気もあったためデッドストックや中古品の現存数が多く、今でも入手可能です。

しかし、90ccというモデルは海外では一般的ではなかったのか、ピストン周りの部品は全く見かけません。

自分もHT-1にHT90腰上に換装しているので、オーバーサイズピストンや流用できそうなピストンを探しているのですが、ほんと見つからないんです。
※HT90と腰下共通でピストンバルブのHT-1(HT90の前モデル)のはまだ出ます。

ということで、Φ50ピストンの90ccモデル(HT90、DT90、MX90 etc)を所有している人は焼付かせないよう大切に乗ってください!


コンロッド、クランクはとてもキレイ。


ケースを割ってミッションの確認



シフトドラムの溝のキレイで


フォークも問題なし


各ギヤも全く問題なし


コンロッド大端ベアリングも新品ですか?っていうくらいキレイ。


クランクの振れを確認

【クランク】
 ・大端ベアリング、ジャーナルベアリングともに正常
 ・小端の振れ:0.56mm 正常
 ・大端サイド隙間:0.45mm 正常
 ・ジャーナル振れ:4/100mm ⇒修正後1/100mm


腰上洗浄してピストンクリアランスを測定


【ピストン・シリンダー】
 ・ピストン→スタンダードサイズ
 ・ピストンクリアランス:最大72μm
  →新品で50μm 100μm以下なのでオーバーサイズへの交換の必要はなし。
   (というか、オーバーサイズピストンがない)
 ・シリンダー排気ポート上に縦キズあり。爪が引っかかるので0.1mm程度の深さ。
  →キズの上にホーニング目が見えるので、過去に修正された可能性あり。
 ・リングギャップ 1stリング:0.51 2nd:0.46 やや広め。
  →要交換。


以上の結果から、

クランクはオーナー様の御意向もあって大端ベアリングを新品に入替え
シリンダーはOSピストンがないので、最小限ホーニングのみ実施してクリーニング

となりました。

これらは内燃機屋さんにお願いして、その間に組み立て準備をしていきましょう。




2017年2月18日土曜日

HT90 エンジンオーバーホール シフトが渋い

HT90のエンジンオーバーホールのご依頼を頂きました。
今回はエンジン単体でのご依頼です。


さて、現状をお聞きしますと

・普通に調子よくよく走る
・ギヤチェンジの感じが渋い、固い感じ
・ミッションオイルを交換したところ、若干はよくなった
・しかしながら、信号待ちで、ニュートラルからローギヤに非常に入りづらい
・エンジンの回転を上げて(空ぶかしをすると)何とか入る状態
・シフトアップは普通に調子よくギヤが入る
・どちらかと言うとシフトダウンの時、回転を合わせてやらないとスムーズに入らない
・クラッチの遊びは、ほぼほぼ少なくしたが変わらない

とシフトに問題があるということでした。

ヒアリングからすると、シフトフォークの調整がズレてるか、シフトドラムの摩耗かバリがあるかなという感じです。

では、分解調査していきましょう。


キックシャフトとキックペダルのボスが溶接されちゃってますね。

HT90でキックシャフトのスプラインがナメちゃってるのを見るのはこれで3台目。


溶接を削って取り外しました。


スプラインがナメてるうえに軸も少し傾いてますね。
HTシリーズのキックシャフトは細くてスプラインも弱いので、キックを踏み切る直前にチカラを抜くように。
シャフトは中古も出てこないし、あってもやっぱりスプラインがズッコケてます。
大切に扱ってあげましょう!


では、どんどんバラしましょう。


ボスクラッチを留めてるナットの回り止めワッシャの曲げ方からすると、過去に手が入ってるようです。


フリクションプレートの摩材に多少の摩耗と劣化はみられますが、大きな問題はなし。 


クラッチ周りを外すと、シフトがでてきます。


ギヤシフトアームAとシフトドラムとのピン隙間調整がズレてますね。


隙間はマニュアルのように左右均等が正です。

この時点で調整し直すと、シフトの入りが良くなったので、これが主原因でしょう。

分解調査はまだつづきます。



2017年2月7日火曜日

ねぇアゴに何か付いてるよ  Husqvarna 250WR

 前後フェンダーをプラッチックからアルミに換装。



大人の仕上がり

男の世界

う~ん マンダム



2017年2月5日日曜日

もう驚かない Husqvarna 250WR

リア周りの整備に続き、フロント周りの整備に入ります。


フォークシールは新しいものに打ち替えてあるようです。

摺動させても全く漏れてきません。 全くね。。



ハスクのフォークはトップキャップが2重構造になってて、上側だけ外すことでインナースプリングをセットしたままオイルが入れられるようになってますね。

レース現場での交換が少しスピーディーに行えるかも。
これはマネしたいポイント!


で、まぁ、フォークオイルを抜くのにひっくり返したわけですが、、


出てきません笑 全く!


そんで、ステムはゴリゴリのガチガチ~


えいっ!このやろう!!

よく見たら、ステムシャフトのネジ部やステムナットも塗装されてる。

おそらくフレームから外さずに付けたまま塗ったな!このやろう!!


塗装されたうえにガチガチに締まってたステムナットを外すと


カッチカチのカラッカラに乾燥したグリスで覆われたベアリングが出てきました。


幸いなことにレースに虫食いは無し


トップの裏側。。泥の上から塗装されてる!お見事!!


そんなカリッカリのグリスをかき落とし



新しいグリスを充填して組上げ。


フォークは油量が解らなかったので、近い径のフォークを参考にしてちゃんとオイルを投入しました。



ちゃんとね。



これはフロントハブ。

ベアリングの上になんだか小汚いワッシャーが入ってるなと。


外してみると、2枚のワッシャーの間にスポンジらしきものが挟まってる構造。

おそらく、オイルシール。

スポンジが完全に朽ちてて、これではシールできない。

ブレーキの効きがとても甘かったのは、これが原因でしょう。


こんな薄いオイルシールは規格品がないので、リアと同様に接触タイプのシールドベアリングに交換しておきます。


しっとりしていたブレーキシューは張り替えでリフレッシュ!


左右上下の動きもスムーズ、ブレーキもまだ当りを出していませんが、ちゃんと効いています。

これが普通。

いろいろあり過ぎて、驚くというよりも面白かったです♪

さーあともう少しだ!



2017年2月4日土曜日

わざとウケを狙ってやってると思う。 Husqvarna 250WR

ほぼ全てと言っていいくらいネジがユルユルハスクバーナ


そんなハスクのリアハブベアリングをチェックしましょう。

と。。あれれ?

カラーを引っ張っても抜けない。

オイルシールにただ刺さってるだけだと思うのですが。。


えーいっ!!と引っこ抜くと、

あらまぁ、なんてことでしょう。

カリ♂がアリマシタ。


オイルシールを外して同じように嵌めると、


奥側のリップが無理矢理引っ張られて、絶妙な位置で嵌りました。

素晴らしい設計です。


じゃなくて、カラーが逆さまです。


ほら。無理なく嵌る。これが正解でしょう。


外したベアリング(左)は古いグリスでコチコチ。

右の接触式シールドベアリングに入れ替えます。


通常のベアリングよりも摺動抵抗は多少大きくなりますが、砂埃や水が入る可能性が高いオフ車はこちらの方が安心。

またグリスの飛散も防げるのでドラムブレーキにも良いです。


ベアリングにシール機能があるので、摺動抵抗を軽減を狙ってダブルリップからシングルリップに変更しました。


そして足周りもすべて外して洗浄とグリスアップ。

見事にカサカサでした。


これでちゃんと動く後ろ足になりました。

大径スプロケットに軽量孔がカッコイイ!!!