クランクを摘出しました。
クランクシール(L)が接する部分を拡大してみましょう。
ぱっと見そんなに摩耗してないようですが、しっかり爪が引っかかるレベルの摩耗です。
新しいオイルシールに交換しても、締め代が足りないのでまた漏れてきます。
クランクを分解してコンロッド周りを確認していきましょう。
DT1Fは125mmコンロッド。
※DT1は130mmコンロッドで別物です。
大端内径の様子。
両端部分の摩耗と起動面に錆穴があります。
小端内径
こちらにも錆の痕があります。
大端ベアリング
保持器が大端内径と接触し摩耗しています。
大端サイドワッシャー
これも摩耗してコーティングが無くなっています。
大端ピン
軌道面に錆あり、サイドワッシャーによる摩耗もあります。
このように50歳を越えたDT1、DT1Fのクランクは錆が発生し、摩耗しているものが多いです。
個人オークション等でよくある『現在不動車。クランクは回ります』な車両。
引き揚げてクランクの状態をよく確認せずに、キャブと点火系を直して、
エンジン始動バンザーイ!
ってやると、大端内径に出ていた錆を起点に軌道面がうろこ状に剥がれ、
ベアリングは粉砕し、ガラガラと大きな異音を出しながらエンジン死亡
なんて悲しいことになります。
なるべく2次被害を抑えるためにも、分解して直接クランクを確認することをオススメします。
ということで、リビルドクランクの完成です。
摩耗していたクランク軸(L)はハードクロムメッキにて純正新品以上の精度と耐摩耗性に
コンロッドはDT250用リプロを流用しています。
大端ピン孔を1mm拡張し、φ25ピン化しました。
DT1Fと同じ125mmなDT250コンロッドですが、大端ピン径がφ24からφ25へと1mmUPしています。
ヤマハの大端ピンは、DT250以前のDT1、DT1Fがφ24、(YZやRTはφ25)で、
以降は現行のモトクロッサーまで全部φ25となっています。
ヤマハとしてはφ25が答えだったのでしょう。
DT1系の大端ベアリング、サイドワッシャーは現在もメーカー在庫ありですが、肝心のφ24大端ピンが廃盤。
海外にはNOSがたまに出てきますが、状態がアレなのも多く、供給も不安定です。
対して、DT250コンロッドはリプロが複数存在し、国内リプロメーカーもありますし、当面の供給は問題ないかなと思います。(希望)
摩耗した純正コンロッド、純正φ24ピンを再生させることもできます。
費用はお小水ちびりそうなほどにかかりますが。。。