2020年12月31日木曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その4


クランクが内燃機屋さんから帰ってきました。


段付き摩耗していたジャーナル軸もハードクローム肉盛りと研磨で新品以上です。


コンロッドの大小端内径とクランクピンは、WPC+ハイパーモリショットを施しました。
摺動抵抗の低減だけでなく、部品の疲労寿命を延ばすことができます。

詳しくは、エヌイーさんのHPをどうぞ



ギヤ抜けの原因を疑った各ギヤのドッグは特に致命的な摩耗はみられませんでした。
洗浄してスナップリングは新品に交換していきます。


シフターA
こちらも分解洗浄して確認します。


今回の黒幕、ストッパーカム
中古良品と交換します。


その相手のプレートストッパーも強く当りがついているので、こちらも中古良品と交換します。



フォークシフターは問題なし。続投しましょう。


シフターB
大きな問題はなさそうですが・・・
こちらはまた後で。


キックシャフト
問題なし。洗浄して再利用です。

さて、これでクランクケースの中身は揃いました。


ケースに新品ベアリングを入れていきましょう。



これでケース合わせの下準備は完了です。

2020年12月30日水曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その3

ギヤ抜けの原因はわかりましたので、その他の状態も確認していきましょう。



ピストンに大きなダメージはみられませんが、リングからの吹き抜けで黒くなっています。


0.50mmオーバーサイズ


シリンダー内径の様子ですが、


各ポート周辺が摩耗しています。


クロスハッチも完全に消失し、全体的にお疲れのようです。


ピストンクリアランスを測定したところ、クリアランス119μmで摩耗限界値オーバーでした。
オーナー様とご相談の結果、今回は在庫のSTDサイズのシリンダーをボーリングして、0.25mmオーバーサイズのNOSピストンと合わせることとなりました。


DT1系のクランクですが、ジェネレーター側のココ


オイルシールのリップが接する箇所が摩耗しているものがほとんどです。

爪が引っかからない程度の摩耗量ならば、オイルシールを新品にして対応できますが、
このクランクのように完全な段付きになっていると、2次エアを吸い込む可能性が大です。

今回は、軸を硬質ハードクロームで鍍金肉盛り、研磨して修正していきます。


クランクをばらしました。


クランクピン 摩耗あり。
サイドワッシャーのところは段付きになっています。


コンロッド大端内径
ベアリング転動面が摩耗し、上側にはピーリング(虫食い)がでてます。
転動面の疲れ現象ですが、潤滑不良やサビ、異物混入によって起こることがあります。


この車両は、それなりに距離も走っているので想定内の摩耗ですが、
走行距離の少ない車両でも、保管時のサビ、腐食が原因で同様に荒れてしまうこともあります。

オイルが付いていてもオイルの中に浸かっていても、放置すれば錆びます。
適度に動かして油中の水分を飛ばし、適宜交換するようにしましょう。

DT1系のまともなクランク、コンロッドは年々入手し難くなっていますので、大切にしたいですね。






2020年12月29日火曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その2

前回の最後に答えを見せましたが、今回はそこにたどり着くまでです。
張り切っていきましょう!


車体からエンジンを下しました。腰上も無くなっていますがお気になさらずに。


ジェネレーター裏側にあるクランクシール(左)
純正のオイルシールのままですから、近年に交換されたものではないでしょう。
リップはプラスチックのように硬化し、オイルも少し出てきていますね。


クランク小端の振れを測って大端の摩耗具合を確認します。
小端振れ:2.7mm (摩耗限界値オーバー)

かなりコンロッドはお疲れですね。


クラッチ側のカバーを外していきます。
スラッジも少なく、オイル管理は問題ないようです。

ケースを割るのでクラッチも外していきます。


減小ギヤのナットを外しましたが、みなさまお気づきでしょうか。


コニカルワッシャーが表裏が逆さまに入っていました。
正しくは凸がナット側です。


シフターも外してケース割れました。
クランクがこんがり焼けてますね。


はい、犯人が現れてきました!



そう、コイツですよ!ダンナ!!


カム シフトの位置を決めるピンが盛大に摩耗しています!


こんなに擦り減っちゃって。。


ここまで摩耗すると、カムの位置決めはできても、ピンのセット荷重が足りなくなってくる。(ピンは後ろからスプリングで押されている)




そうすると、ある条件で少しカムが戻されてしまうので、今回のようなギヤ抜けになってしまったんですね。

ちなみにこのピンは、ケースを割らなくてもボルトを外せばスプリングとともに出てきます。
(今回のは変形していたので落ちてこなかったんですが、)

『自分でオイル交換しようとしたら!!
なんか見たことないピンとスプリングが廃オイルの中に落ちてるんですが!!??』

と、当店ではオイルポンプの問合せに次ぐ人気ものです。

もし外しちゃった場合は、そっと戻しましょう。





















2020年12月28日月曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その1

 

はるばる九州は鹿児島から修理のご依頼です。

リードバルブ仕様のDT1F(DT2/3)

さて、不具合の症状は、5速で走行時にギヤが抜ける

ということです。

試乗してみたところ・・・

1~4速の急加減速で特にギヤ抜けすることもなく普通。

5速の急加減速で!

抜けない。。。

何度繰り返してギヤ抜けしない。

しばらく走っても抜けない。。

で、一旦帰宅しようと5速で流していたところ、

唐突にスコンと抜けました。

その後は、調子よく?スコンスコン抜けます笑

再現出来て、まずは一安心。


5速ギヤのドッグの噛み合わせが良くないのかなと考えながら、

帰宅し、原因調査してみると


コイツが犯人でした。

右:ダメなやつ

左:正常なやつ

コイツが何かは、次回につづく。


2020年12月19日土曜日

アコモの公式LINEアカウントを作りました!

アコモへの問合せ方法を、今までのGmailとお問合せフォームに加えて 

LINEも使えるようになりました!

お気軽にお問い合わせ、相談、シモ話してください!!



●LINE登録の方法●

LINEアプリの「友だち追加」から

「QRコード」もしくは「ID検索」から友だち追加を行い、

追加後に配信されるメッセージの内容に沿って進めてください。


QRコード

ID検索


これまで通り、Gmailとお問合せフォームは残しますが、
できるだけこの『LINE』を使っていただきたいです。

Eメールよりも写真や動画が送信しやすく、チャットもしやすいです。

また、Yahooメール等のフリーメールは、
返信できなかったり、迷惑メール扱いにされてしまう不具合が
結構ありますので。。。

何卒宜しくお願い致します。


2020年12月6日日曜日

DT1F 、AT125 タンクキャップシールの組込み

 


DT1FやAT125のワンタッチ開閉式のタンクキャップのシールをリプロのシールキットを使って交換していきます。


まず、タンク内へ部品を落とさないようにマスキングテープなどで蓋しておきましょう。


では、シールを外していきます。
中央のEリングを外します。
マイナスドライバーでひっかけるようにすれば簡単に外れます。
飛ばして無くさないように気を付けてください。


Eリングが外れたら、中身を抜き取りましょう。


外した中身を分解します。
ゴムで嵌っているだけなので、特に工具は要りません。


これらが交換するシールキット。


では、組み立てていきましょう。
まずはこのプレートに、


一番小さなゴムを通します。
特に固定されるわけではなく、通すだけです。


では、次にこのゴムの内側の突起2箇所の位置を確認しましょう。
この突起と、先ほどのプレートの切り欠きを合わせるようにして、


はめ込みます。
ここまで出来ましたか?


では、組んだものを裏返して、中央の3つの突起を確認して、


受け皿の切り欠きと合わせて乗せます。


その上にもう一つのお皿を乗せて


最後のシールを嵌めます。
この時、向きがあるので注意してください。
浮き出し文字がある方がキャップ側。
何もない方がタンク側になるように組み立ててください。


最後にスプリングを乗せて


キャップに差し込んで、Eリングをペンチで入れます。
※Eリングはできれば新品交換が望ましいです。

これで満タン給油しても漏れてこなく、
股間にハズカシイ染みをつくらなくて済みますね♪


DT1F/AT125 タンクキャップシールキット

ヤマハ品番:
308-24642-00
308-24641-00
308-24612-00

に対応しております。

1セット:4,500円(税別)

在庫状況は、


akomotorcycle@gmail.com

までお問い合わせください。