2020年12月30日水曜日

ギヤ抜けする DT1F の修理 その3

ギヤ抜けの原因はわかりましたので、その他の状態も確認していきましょう。



ピストンに大きなダメージはみられませんが、リングからの吹き抜けで黒くなっています。


0.50mmオーバーサイズ


シリンダー内径の様子ですが、


各ポート周辺が摩耗しています。


クロスハッチも完全に消失し、全体的にお疲れのようです。


ピストンクリアランスを測定したところ、クリアランス119μmで摩耗限界値オーバーでした。
オーナー様とご相談の結果、今回は在庫のSTDサイズのシリンダーをボーリングして、0.25mmオーバーサイズのNOSピストンと合わせることとなりました。


DT1系のクランクですが、ジェネレーター側のココ


オイルシールのリップが接する箇所が摩耗しているものがほとんどです。

爪が引っかからない程度の摩耗量ならば、オイルシールを新品にして対応できますが、
このクランクのように完全な段付きになっていると、2次エアを吸い込む可能性が大です。

今回は、軸を硬質ハードクロームで鍍金肉盛り、研磨して修正していきます。


クランクをばらしました。


クランクピン 摩耗あり。
サイドワッシャーのところは段付きになっています。


コンロッド大端内径
ベアリング転動面が摩耗し、上側にはピーリング(虫食い)がでてます。
転動面の疲れ現象ですが、潤滑不良やサビ、異物混入によって起こることがあります。


この車両は、それなりに距離も走っているので想定内の摩耗ですが、
走行距離の少ない車両でも、保管時のサビ、腐食が原因で同様に荒れてしまうこともあります。

オイルが付いていてもオイルの中に浸かっていても、放置すれば錆びます。
適度に動かして油中の水分を飛ばし、適宜交換するようにしましょう。

DT1系のまともなクランク、コンロッドは年々入手し難くなっていますので、大切にしたいですね。






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